活動報告

■要約
本第五号報告書では、以下5項目を記載。

1:活動結果
2:要請の妥当性
3:活動成果の配属先による活用の見込みと今後の配属先への支援の必要性
4:ボランティア経験について
5:帰国後ボランティア経験を社会に還元又は発信するための方法と計画

 

1:当初予定していた活動以外もいくつかあったが、WEB関連の整備、システムの有効活用、教材作成のサポートをメインとして活動を行い、配属先での諸問題の解決に貢献することが出来た。
2:ICT部門の作業は外注することが可能なので、SE単体の必要性は感じないが、教育事業に注力しているナミビアJICA事務所の意向とはマッチしており、システムの面から教育のサポートをするという点で必要な要請だったと思う。
3:2代目ボランティアとして派遣されたが、前任者の活動結果を更新・実践しているスタッフが少なく、今回も十分な活用は見込むことは難しい。ただし、組織自体の変革は徐々に現れているので、配属先自体で問題を解決するする力は備わってきていると思う。
4:SEになる時に抱いていた想いをNIEDで実現することが出来た。また、ボランティアを通して、自身のスキルを高めて、国際協力に対して広い見地を持つことが出来るようになったと感じている。
5:発展途上国で生じている様々な問題へのアプローチ方法をICTに関連付けて学んだ上で、教育に特化した分野での諸問題を解決していくSEとして社会還元していきたいと思う。また、身近な人にナミビアという国を知ってもらう小さな発信を国際交流に関わりながら、続けていきたい。


■①活動結果
①WEB関連の整備
WEBサイトのデータクラッシュに伴い、構築システムをCMS(Content Management System)からHTML・CSSJavascriptを用いたプレインシステムに移行した。これにより、安定的なWEBサイトの運用と柔軟なデザインが可能となった。
②システムの有効活用
NIEDのシステム全般に関わる部署であるメディアオフィスに所属し、カウンターパートと外注企業であるCyber Techと協力して、PCの修理やネットワークに関する問題を解決し、ドキュメントのサポートもしてきた。Outlook Scheduleを導入しようとしたが、スケジュール管理という考え方を定着させるまでの運用まで至らなかった。
③教材作成のサポート
JOCVのいる学校を訪問し、授業風景を撮影し、それをNIEDのWEBサイトへアップした。授業方法を共有する1つのツールにはなったが、より効果的な手法を具体化する必要がある。手作業で計算されていた成績評価シートを教師隊員のサポートのもと、エクセル化し、WEBサイトにアップした。

 

■②要請の妥当性
NIEDはナミビアの中では比較的大きな組織なので、予算を捻出すれば、ICTに関連する外注やスタッフを雇うことは他の機関に比べたら容易であろう。当初からICT技術者が不足であるという状況があったとしても、SE単体の要請としては、必ずしも必要とは言えなかったと思う。しかし、教育の中枢機関の1つであることと、ナミビアに教育に携わる多くのJOCVがいることから、ナミビア教育の上流システムに影響を与えるという意味では重要な役目を本要請は持っている。直接的に教育変革を促すようなボランティアではなく、間接的にナミビア教育に関わる立ち位置にいることによって、NIEDスタッフにも受け入れられやすく、目に見える技術を用いた提案が受け入れられやすくなっていた。そのような理由から教育システムに提言できるSEとして活動する本要請には妥当性があったと感じる。


■③活動成果の配属先による活用の見込みと今後の配属先への支援の必要性
活動成果に関しては、配属先の人員不足や経費削減に貢献できるものであった。しかし、前任者が残したWEBサイトの運用マニュアルがあるにも関わらず、WEBサイトが更新されていなかった事実やFacebookのNIED公式ページも年に数回しか更新されないことから、私が作ったWEBサイトやツールがNIEDスタッフによって、今までと同じように更新される見込みは少ない。けれども、スタッフも変わってきていることやWEBサイトが教育関係者に必要とされていることから、活用への見込みは期待したいところである。JOCVとNIEDとの提携や協働作業はナミビア教育にとって、非常に重要なことではあるが、支援までいくと疑念を抱かざるを得ない。実際にICTのスキルを持った人は少数で、ボランティアがいるに越したことはないが、土台として作ったものをいかに継続的に発展させていくかはこの組織の人たちの手に委ねたほうがいいと考えている。

 

■④ボランティア経験について
様々なボランティアをしてきた経験があったが、長期でしかもアフリカでボランティアをするのは初めてだったため、文化・習慣の違いに苦労することもあったが、当初目標としていたことは達成して活動を終えられた。もともとSEになったのも、人員や予算不足に悩んでいる組織をサポートしたという想いからだったので、培ったスキルを使って、一定の成果をこのボランティアを通して達成出来たことは非常に嬉しく思う。
ボランティア経験はスキルが身につかないと言われたり、空白期間と位置付けられたりするが、プログラミングのスキルやソフトウェアの開発力、英語力をこの期間で身に着けることが出来たと思う。また、自分の経験してこなかった文化や環境に触れることによって、自分の価値観や考え方を広げるということにも繋がった。それはボランティアという形だからこそ出来た貴重な経験とも言えるだろう。

 

■⑤帰国後ボランティア経験を社会に還元又は発信するための方法と計画
帰国後は、イギリスのマンチェスター大学のICTs for Developmentというコースに在籍し、発展途上国の様々な問題へのアプローチ方法をICTに関連付けて学ぶ予定である。当ボランティア以前は教育に関しては門外漢であったが、NIEDに属し、教育に携わる人達に関わることによって、教育の重要性を知ると共に、自身の知識とスキルの無さにもどかしさを覚えることもあった。なので、知識を蓄えた後、教育に特化した諸問題に取り組んでいきたい。ボランティアに対するスタンスは変えず、自身のスキルを用いて、国際協力に携わる組織に貢献し、それをもって社会還元としたいと思う。
まずは、ナミビアという小さな日本から遠い国のことを身近な人に知ってもらい、その輪を広げることが社会発信の第一歩だと思う。そこで得た縁からその輪を広げて、次の世代の人たちに引き継いでいきたい。